腰痛症例の歩行に関する過去の報告によると、
腰痛症例は、
運動の質をコントロールができないと言われています。
そのため、
歩行速度、ストライド長、ケイデンスや立脚時間が減少すると言われています。
なぜこのようなことが起きるかというと、
歩行中の四肢のタイミング機能に関与する固有受容器の機能低下によって、
股関節と脊椎の過度な運動を抑え、
Heel contactにおけるモーメントを最小限に抑える防御システムが機能するからだと言われています。
また、
この股関節と脊椎の抑制は、
疼痛に対する防御反応であり、
遠位の固有受容器に依存してると言われています。
そこで今回は、
腰痛症例の歩行動作中における
- 床反力および②単位時間あたりの床反力が
足部のどの部分が大きいのか、どの部分が小さいのかを調査したお話です。
対象は11名の女性です(平均約30歳)
また13名の腰椎に既往のない女性をcontrol群としました。
床反力は
3回の自由歩行速度を
12mの足圧計測計にて測定しました。
足部は
- 踵の内側
- 踵の外側
- 中足部の内側
- 中足部の外側
- 第1中足骨部分
- 第2中足骨部分
- 第3-5中足骨部分
- 第1趾
- 第2趾
- 第3-5趾
以上の10個のエリアに分類しました。
床反力は体重にて正規化しました。
比較は、
床反力と単位時間あたりの床反力を両群で比較しました
それでは結果です。
床反力が腰痛群の方が低かったエリア
右の中足部(3と4)、
左の中足部(3と4)、
左の第1趾(8)、
床反力が腰痛群の方が高かったエリア
左の第3-5中足骨部分(7)
単位時間あたりの床反力が低かったエリア
右の中足部(3と4)
左の中足部内側(3)
左の第1趾(8)
単位時間あたりの床反力が高かったエリア
左右のともに第3-5中足骨部分(7)
以上のような結果となりました。
いかがでしたか?
今回は、
腰痛群の第3-5中足骨エリアは床反力が大きく、
中足部エリアでは床反力が少ない、
また、第1趾への床反力も低いという結果となりました。
第1趾の床反力が少なく、
第3-5趾の床反力が大きいということは、
前方への推進力が低下し、
歩行のエネルギー伝達ロスが生じている(ロスさせないと腰が痛い?)と考えられます。
そのため、
過去に言われているような、
・ストライド長が低下する、
・短いストライド長が踵、中足部、足趾への最大荷重を減少させる、
という歩行の変化が生じると考えられます。
このような歩行の変化は、
慢性腰痛患者の空間内の身体の方向に関する不適切な情報を提供し、
姿勢制御の障害の原因となり歩行や日常生活におけるさらなる姿勢を変化させるとも言われています。
慢性腰痛は多くの先進国で見られ、
その有病率は60-80%、
また、
慢性腰痛の85%の人が特発性の疼痛および病理的に不明な状態です。
体幹へのアプローチは当然ですが
歩行中の足部に対しても
何らかのアプローチを検討する必要があるのかもしれません。
本日は以上です。