肩関節周囲炎の外科的治療と理学療法

肩関節

知っているようで知らない。

明らかになっているようで

明らかになっていない、

「肩関節周囲炎」。

今回は、

「肩関節周囲炎」についてです。

 

 

 

 

肩関節周囲炎の記述は1872年、

Duplayによって肩甲上腕関節炎として報告されました。

その後1934年にCodmanによって

「Frozen shoulder」(凍結肩) という用語が用いられました。

 

肩関節周囲炎の症状は、

三角筋付近の疼痛、

患側がわで睡眠が困難、

自動でも他動でも挙上と外旋が困難

ただ、レントゲン上問題ないというのが大きな定義です。

 

どくらいの方が罹患しているかというと、

肩関節周囲炎の症例は約3-5%と言われています。

(もう少し多いという報告もあります。)

両側同時の肩関節周囲炎は約14%、

20%が反対側に何らかの症状を呈するようです

空腹時血糖異常、

もしくは耐糖能異常を伴う何らかの糖尿病症のリスクが高い方も罹患しやすく、

糖尿病を有していると最大20%まで罹患率が高くなります。

 

発症年齢のピークは、

「四十肩」「五十肩」と言われるように、

40-60歳が発症のピークです。

また、

わずかですが、女性が多いと言われています。

 

 

 

 

発症の過程は、

関節包において、

最初に活発な線維芽細胞増殖が生じ、

後に線維芽細胞から筋線維芽細胞への形質転換を伴うことが報告されています。

これらが、

炎症性拘縮を引き起こし、

関節包の容積を減少させ、

肩甲上腕関節の動きを減少させると考え得られています。

ただ、

このような病理学を引き起こす要因は現在のところわかっていないようです。

 

 

 

主な可動域の制限因子は、

前上方関節方(腱板粗部、上肩甲上腕靭帯、烏甲肩峰靭帯を含む)の制限が外旋を制限し、

前下方の制限が外転いでの外旋(2nd外旋)の制限を生じさせると報告されています。

また、

後方の関節包の制限は内旋を制限し、

より重度の肩関節周囲炎に存在すると言われています。

 

 

 

 

肩関節周囲炎の治療は、

多くの症例は、

外科的処置の前に理学療法を処方されます。

主なプログラムは、

ROMexと関節包のストレッチです。

しかし、

残念ながら質の高いエビデンスは今のところないと言われています。

また、

理学療法だけでは対称群と有意な結果を得ることができていないと報告され、

物理療法についての論文もありますが、

ランダム化比較試験を行ったものがないため、

明確なエビデンスはない状態です。

 

 

 

 

近年の外科的処置は、

関節鏡視下での関節包の剥離が一般的になってきているようです。

 

外科的処置の大まかな内容は、

腱板間の滑膜切除、

関節包の剥離は、

肩甲下筋腱〜下部、棘上筋〜上腕二頭筋長頭腱・烏口上腕靭帯です。

 

ただ、

鏡視下における関節包の剥離の研究は、

比較対称群を含む研究が行われていないため、エビデンスが十分とは言い切れないようです。

 

 

 

 

このように、

肩関節周囲炎は整形外科で見られるようにもっとも一般的な筋骨格系の疾患の一つですが、

まだ多くの不明な点があり、

科学的に確立していない状態です。

 

 

 

 

というとことで、

肩関節周囲炎のリハビリをあきらめてしまっては、

患者さんが困ってしまいます。

 

関節包の部位によって制限される運動が異なること、

外科的処置の場所から、

障害部位を大まかに確定できるため、

運動制限および障害の予測されうる部位を特定し、

どの運動方向であれば、

当該部位へのストレッチやmobilizationが可能かを検討し、

理学療法を進めていく必要があります。

 

 

今後、

様々な角度から

肩関節周囲炎へのアプローチを検討していきたいと思います。

 

 

本日は以上です。

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リハビリに必要なエビデンスに基づいた 内容のブログ、e-ラーニングを発信していくteamです。

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