高齢者の大腿骨頚部骨折の発生頻度は高いと言われていますが、
いったいどれくらいの頻度で発生しているのでしょう。
ある文献では、
65歳以上の人の35%が転倒し、
そのうちの10%が大腿骨が骨折すると言われています。
また、
90歳までに、女性の32%、と男性の17%が大腿骨を骨折するとも言われています。
さらに、
2050年までに世界で年間約230万の股関節骨折が発生すると推測されています。
高齢者が骨折すると、
移動能力の低下、
生活の質の低下し、
死亡率が増加します。
また、病院のコストも増加するため社会経済にまで影響を及ぼします。
このような
社会的問題となっている大腿骨頚部骨折に対して、
理学療法士として何ができるのでしょうか。
大腿骨頚部骨折後のリハビリにおいて、
理学療法士の早期介入効果はいくつか報告されています。
その一つに、
リハビリの介入を
術後24時間以内(早期リハ群)、
術後24時間以上(遅延リハ群)の二群にわけ、
入院期間、
股関節スコア(Harris Hip Score(HSS))、
疼痛、
歩行能力を比較した報告では、
入院期間が、
早期介入群では5.4日、
遅延リハ群では6.9日と
24時間以内に介入することで、
入院期間が短縮します。
術後1ヶ月後の
Harris Hip Score(HSS)は、
早期介入群が84.0点
遅延リハ群が71.0点
と有意にHSSが高く、
また、
HSSの中の疼痛スコアは、
早期介入群が36.8点
遅延リハ群が24.4点
と疼痛に関しても有意に高く、
術後1ヶ月後のHSS、
疼痛に対して早期リハの有効性が報告されています。
歩行能力を見てみると、
最終的な歩行能力は、
早期介入群の78.3%が
杖歩行/杖なし歩行が可能となった一方、
遅延リハ群では、
杖歩行/杖なし歩行が可能となったのはわずか10%でした。
このように、
術後24時間以内にリハビリを開始することは、
下肢機能、歩行能力、疼痛、コスト面すべてにおいて効果的です。
昨今の早期リハの流れから
多くの施設において、
術後すぐにリハビリを開始していると思いますが、
早期リハビリのメリットを再認識しましょう。
また
早期にリハビリを開始できなかった方に対しての修正方法も、
検討しておく必要があります。