大腿骨頚部骨折後の免荷装置を用いたリハビリの効果

大腿骨近位部骨折

大腿頚部骨折後のリハビリの際に、

免荷の指示が出ることは少なくありません。

 

免荷の指示が出た場合は、

体重計等を用いて、

荷重の確認をしていると思います。

 

今回は、

体重計を用いて確認する必要のない、

免荷装置を用いたリハビリのお話です。

 

 

その免荷装置は、

「反重力トレッドミル」と言います。

(anti-gravity treadmillにて検索すると出てきます。)

こちらは、

特別な空気圧制御システムを使用して、

歩行訓練中に下肢の荷重を減少させる装置です。

これは、

患者さんの体重を最大80%減らすことができます。

つまり、体重を最大2割にすることができます。

(60kgの方であれば、荷重が12kg!)

 

「反重力トレッドミル」に関する過去の報告は、

荷重時痛のある症例に対して、

荷重をコントロールし、

リハビリを実施しやすくする言われていることや、

足関節や膝関節への負担を増やすことなく

歩行やランニング動作のトレーニングが可能と言われてます。

 

 

では、

この装置を用いて、

大腿骨頚部骨折症例に対しての効果は、

あったのでしょうか。

 

 

対象は、

大腿骨骨折により大腿骨骨折手術を受けた34人です。

この34人を、

トレッドミル群とコントロール群に、

それぞれ17名に分けました。

 

両群における。

骨折後の手術内容に有意差は認められませんでした。

(多くが骨接合術、2%が骨頭置換術)

 

 

筋活動の測定は、

大殿筋(GM)、

中殿筋(Gm)、

外側広筋(VL)、

および内側広筋(VM)のトルクと筋電図をトレーニング開始前と終了後に測定しました。

 

リハビリの内容は、

トレッドミル群は、

5回/週を4週間、20分間/回の反重力トレッドミルトレーニングを行いました。

コントロール群は、5回/週を4週間、20分間/回のリハビリテーションを行いました。

(1-2週:setting、股関節内転、外転ex)

(3-4週:Heel slide、SLR、 うつ伏せで膝屈曲、股関節伸展、股関節外転)

 

 

それでは、結果です。

GMとGmの筋活動において、グループ間に有意差を認めました。違いが観察されました。

他の筋における筋活動や、トルクはグループ間に有意差を認めませんでした。

 

 

 

なぜ、

GMとGmの筋活動が

トレッドミル群の方が有意に大きい結果となったのでしょうか。

 

 

Gmは、

歩行中の片脚立脚期におけるの前額面上の骨盤のバランスに重要な役割を果たします。

また、

GMは、Heel contactにおいて股関節と骨盤の位置が動的に安定し、

前方への推進力に寄与します。

 

今回、

「反重力トレッドミル」を用いることで、

立脚期における、

歩行トレーニングを早期に実施することができたので、

GM、Gmの立脚期における筋活動が増えたのではないでしょうか。

 

ここで、

「反重力トレッドミル」がないから文献の結果が意味ないなぁ。。

と思ったらダメです!

 

今回の結果を考えると、

コントロール群のトレーニングでは、

GMとGmの筋活動が不足します。

ってことは、

コントロール群のリハビリメニュー+GMとGmを強化するリハビリを取り入れていくことで、

「反重力トレッドミル」を用いなくても早期復帰につながります!

 

大腿骨頚部骨折症例のリハビリを行う際に、

GMとGmのトレーニングを一つか二つ加えてみることは

いかがでしょうか。

 

 

本日は以上です。

 

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